どうして豚肉はこんがり焼くのか
2018.10.06 Saturday

こんにちは、2年OLの原口巧です。

今日は誰もが一度は疑問に思ったことがあるであろうこの命題について、寄生虫

の観点から解いていこうと思います。


 魚をよく食べる国民と言われてきた日本人ですが、最近は魚の消費量がどんどん減り特に若年層で魚離れが進んでいます。そして日本人は魚で培われた食文化をそのまま肉に適用してとにかくいろんなものを生で食べようとします。「生が通、新鮮なものは生が一番」といってジビエでも生で食べますが、それでも生の豚肉だけは口にしません。


 その一番の原因がギョウ虫として知られるサナダムシです。サナダムシは有鉤条虫と無鉤条虫に分かれています。成虫は小腸内に寄生していて千切れた片節(からだの一部)が糞便とともに排出されます。片節には卵が詰まっていて、これを小さな動物が食べて、食べられ、巡り巡ってまた人間の口に入り人間に寄生します。有鉤条虫はブタ、無鉤条虫はウシから人の口に入ります。


 有鉤条虫自体には害はないのですが、有鉤条虫の片節は壊れやすく腸内で壊れた片節から卵が遊離して幼虫が孵化してしまうのです。すると身体中にこぶができ、失明、てんかん、言語障害、意識障害を引き起こしてしまいます。


 ところが有鉤条虫はその生活様式から分かる通り豚肉をたくさん食べる地域に分布しているはずで、明治まで豚肉を食べていなかった日本人が西洋から「豚肉は危ない」と知識が入ってきてもそこまで神経質になる必要はないのです。それなのに平成になった現在でも、親は子供に豚はしっかり焼けとうるさく言います。

昭和16年の書物でも「北欧に有鉤条虫は見られるが数は減少しており、(中略)、中国に多い。本邦で報告せされた例は何れも満鮮及び支那で感染したもの。」とあります。

つまり豚肉への恐怖心は第二次世界大戦から大戦中にかけて大陸へ渡った人々の経験が尾を引いていると考えられます。中国で見た有鉤条虫の印象が強く恐ろしく、引き揚げてきた人々が「豚の生だけはいかん」ときつく戒めたのは極めて自然なことでしょう。

 

 ここで命題に戻り、実は今現在日本国内で豚肉を生で食べたからといって有鉤条虫に感染することはありません。つまり生で食べても大丈夫なのです。日本人が誰も成虫を持っていないので、豚が卵を口にすることがないからです。しかも近年SPF(specific pathogen free)と言って病原体のない清浄な豚が流通しています。おそらく何年か後にはブタはこんがりという「常識」は消えてしまうでしょう。


 軽く炙った豚肉はとても美味しいので良いのですが、生獣肉に対する危機感がなくなると皆が生食に走り、新たな感染症が起こる可能性もあるので皆さんも気をつけてください。

それではまた。

引用 『寄生虫のふしぎ』
目黒寄生虫館 技術評論社より。


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2018.10.22 Monday

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